ホーム産業ByteDance次世代AI動画モデル「Seedance 2.0」公開――ハリウッド著作権問題も浮上

ByteDance次世代AI動画モデル「Seedance 2.0」公開――ハリウッド著作権問題も浮上

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中国の大手テクノロジー企業ByteDance(バイトダンス)は2月12日、次世代AI動画生成モデル「Seedance 2.0(シーダンス2.0)」を正式にリリースした。TikTok(ティックトック)の親会社であるByteDanceは、同モデルがテキスト、画像、動画、音声を同時に処理できるマルチモーダル方式に対応していると発表した。

ByteDanceによると、Seedance 2.0は生成品質において飛躍的な向上を遂げ、複数の被写体が登場する複雑なシーンの生成やプロンプト指示への追従能力が大幅に改善された。ユーザーはテキストプロンプトを補完するため、最大9枚の画像、3本の動画クリップ、3本の音声クリップを入力できる。生成可能な動画の長さは最大15秒で、カメラワーク、視覚効果、モーションを反映した音声付きクリップの制作が可能だ。テキストベースのストーリーボードを参照した動画生成にも対応する。

ByteDanceは、Seedance 2.0がプロフェッショナルな映画制作、eコマース、広告制作分野を想定して設計されており、コンテンツ制作コストの削減が見込めると説明した。

Seedance 2.0はリリース直後から中国国内で爆発的な反響を呼んだ。中国のSNS「微博(Weibo)」では関連ハッシュタグが数千万回のクリックを記録し、ユーザーが生成した多様な動画が拡散された。ラッパーのYe(イェ、旧名カニエ・ウェスト)とキム・カーダシアン(Kim Kardashian)を中国の宮廷ドラマの登場人物に変換し、北京語で会話・歌唱させた約2分間の動画は、微博で約100万回再生された。

中国国営メディア「環球時報(Global Times)」は社説で、Seedance 2.0の成功を2025年初頭にDeepSeek(ディープシーク)のR1・V3モデルがグローバル市場にもたらした衝撃になぞらえた。環球時報は、Seedance 2.0をはじめとする革新の継続的な成功がシリコンバレーにおける中国AI技術への再評価を促していると報じた。中国国営メディア「北京日報」も「DeepSeekからSeedanceへ、中国AIは成功した」というハッシュタグを掲載した。

イーロン・マスク(Elon Musk)氏も自身のSNSプラットフォームXで、Seedance 2.0を称賛する投稿に返信し、話題性をさらに高めた。

一方、Seedance 2.0は著作権問題にも直面している。アメリカ映画協会(MPA)のチャールズ・リブキン(Charles Rivkin)会長兼CEOは声明で、Seedance 2.0がわずか1日で米国の著作物を大規模に無断使用したと批判した。リブキン会長は、侵害防止のための実効的なセーフガードなしにサービスを開始したByteDanceが確立された著作権法を無視していると指摘し、侵害行為の即時停止を求めた。

実際に、Seedance 2.0のユーザーはDisney(ディズニー)、Warner Bros. Discovery(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)、Paramount(パラマウント)など、ハリウッド主要スタジオの著作物を活用した動画を制作していることが判明している。トム・クルーズ(Tom Cruise)とブラッド・ピット(Brad Pitt)のディープフェイク対決動画や、『アベンジャーズ/エンドゲーム(Avengers: Endgame)』のリミックス動画などが制作され、論争が拡大した。

TikTokの米国事業は、米議会がByteDanceに売却を求める法案を可決したことを受け、先月別の合弁事業体として分離された。2025年10月にも米AI企業OpenAI(オープンAI)が動画生成サービス「Sora 2(ソラ2)」をリリースした際、著作権キャラクターを用いたコンテンツ生成が問題視され、OpenAIはその後サービスに新たな制限を導入した経緯がある。

AI動画生成技術はこの1年で急速に進化している。米Google(グーグル)のVeo 3(ビオ3)は音声付きクリップ生成機能を追加し、OpenAIはSora 2とともに超現実的なモーションとサウンドを実現するアプリを発表した。米AIスタートアップRunway(ランウェイ)も新バージョンのAI動画モデルを公開し、競争に加わっている。

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