カバー株式会社(代表取締役社長:谷郷元昭)は10月13日、米国のメディア制作会社Critical Role(クリティカル・ロール)との初のコラボレーション企画『Shattered Legends(シャタード・レジェンズ)』を発表した。Critical Role傘下の出版社Darrington Pressが2025年5月に発売したファンタジーTRPG『Daggerheart(ダガーハート)』を両社のキャストが同じ卓でプレイする番組で、出演者が実際にゲームを遊ぶ様子をそのまま見せる「アクチュアルプレイ」の形式を取る。2026年11月中旬からYouTubeとCritical Roleのサブスクリプション制配信サービス「Beacon」でミニWebシリーズとして公開され、提供は米国のカードスリーブ・ゲームアクセサリーブランドUltra PRO。物語は、Critical Role共同創業者で声優のマシュー・マーサーが生み出した架空世界「エクサンドリア」の正史に位置づけられる。ホロライブプロダクションが9月7日にホロライブEnglish、ホロライブインドネシア、hololive DEV_ISなどのブランドを一つの「ホロライブ」に統合してから、5週間後の発表となる。
ゲームマスター(GM)はマシュー・マーサーが務め、プレイヤーにはCritical Role共同創業者で声優のマリシャ・レイがフローレンス役で参加する。ホロライブからはネリッサ・レイヴンクロフトがシリアン・ファエル(シル)、森カリオペがカズ・ウーグッド、シオリ・ノヴェラがメアヒェン・ローゼンメイネ(マーチ)、ジジ・ムリンがジリンを演じる。番組は英語で進行し、YouTubeで公開される全エピソードに日本語字幕が付く。発表は、9月30日から段階的に続いた予告の結論でもある。ホロライブの英語圏公式Xアカウント(@hololive_En)は9月30日、地図の上を転がる20面ダイスと「Life is like a dice, you never know what comes next.」の文言を収めた最初のティザー映像を公開し、10月7日には出演する4人がそれぞれファンタジー風キャラクターのシルエットを投稿した。10月10日にはマーサーがカバー本社を訪れて谷郷社長と握手する映像が同アカウントに投稿され、13日の正式発表と同時にネリッサ・レイヴンクロフトとマーサーが登場する告知映像が公開された。
本編はCritical Role公式YouTubeチャンネル(@criticalrole)、ネリッサ・レイヴンクロフトの公式チャンネル(@NerissaRavencroft)、ホロライブ公式英語チャンネル(@hololiveEnglish)とBeaconで配信される。出演キャストによるキャラクター作成と背景設定を収めたエピソード0、各話終了後の「クールダウン」トークといった舞台裏コンテンツは、Beaconとネリッサ・レイヴンクロフトのYouTubeメンバーシップで提供される。今後は北米・ヨーロッパ・アジア各地のコンベンションでプロモーションを行い、限定グッズやコラボレーションの続報も後日発表される。『Daggerheart』はプレイヤーが世界観や英雄譚を協力して築き上げるファンタジーTRPGで、2個の12面ダイスを「Hope(希望)」と「Fear(恐怖)」のダイスとして振り、どちらが高い目を出したかで物語の流れが変わる。キャラクターの背景や能力はイラスト入りのカードで表現される。
Critical Roleは『Daggerheart』発売直後の2025年5月29日から7月24日にかけて、同システムによる全8話のミニシリーズ『Age of Umbra』を自社制作した。2026年1月にはニュージーランドのコメディグループViva La Dirt Leagueによる『Daggerheart: Azerim』をBeacon先行で配信するなど、外部チームと組んだ『Daggerheart』シリーズの展開を広げてきた。ホロライブ側にとってもTRPGは未知の領域ではない。森カリオペは2021年5月から2023年5月まで、『Hunter: The Vigil』を用いたシリーズ「Hunter Myth: Mythbreakers」で自らGMを務め、2024年には西部劇TRPG『GUN』のセッションをジジ・ムリンらの参加で実施している。
出演者のチャンネル規模を見ると、両者が組む意味が数字に表れる。2015年に配信を開始したCritical Roleの公式YouTubeチャンネルは10月10日時点で登録者288万人、Twitchフォロワーは147万人。英ゲームメディアWargamerによると、森カリオペのYouTube登録者数は266万人でこれとほぼ同じ水準にあり、100万人を超えたネリッサ・レイヴンクロフトを含むホロライブ出演者4人を合計するとCritical Roleのチャンネル規模を上回る。カバー全体で見ても、海外企業との取引拡大の流れと重なる。2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は売上高が前年同期比8.3%減の88億2,500万円にとどまる一方、ライセンス・タイアップ分野は北米・東アジアの海外クライアントとの取引拡大を背景に8.2%増の12億7,900万円を記録した。ホロライブは9月のブランド統合とあわせて2027年の10周年に向けたTVアニメ制作や新ユニットのデビューを予告しており、今回のシリーズはその中で英語圏のTRPG視聴層を直接狙う企画となる。配信開始日の詳細や話数、グッズやコンベンションツアーの日程は後日告知される。

