ホロライブプロダクション所属のバーチャルアイドル・星街すいせいが3月22日、個人事務所「Studio STELLAR(スタジオ ステラ)」の設立を発表した。ソロアーティストとしての活動基盤を独立させる一方、ホロライブプロダクション所属タレントとしてのグループ活動は継続するという、バーチャルタレント業界では前例のない体制への移行となる。
発表は自身の誕生日かつ活動8周年にあたる同日20時から、YouTube上で生配信された8周年アコースティックライブ内で行われた。配信の同時接続視聴者数は15万5,000人を記録し、コメント数は23万件に達した。新体制では、ソロアーティストとしての音楽活動、配信活動、新規グッズ販売、ファンクラブ運営などがStudio STELLARに移行する。タレントマネジメントは株式会社NERD(代表取締役社長:髙橋政記、代表取締役:大澤創太)が担い、カバー株式会社との協業・連携体制のもとでソロ活動を支援する。NERDはサウンドプロデューサーのTAKU INOUEや音楽プロジェクトMidnight Grand Orchestraなども手がけるアーティストエージェンシーだ。一方、ホロライブプロダクション所属VTuberとしてのコラボやグループ活動、イベント出演、商品企画などは従来通り継続される。
星街すいせいは2018年3月22日に個人勢として活動を開始し、2019年にホロライブプロダクションへ加入した。VTuberとして初めてYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に出演し、2024年リリースの『ビビデバ』はYouTube MV再生数1億回とBillboard JAPANストリーミング累計1億回再生をVTuberとして初めて同時に突破。同MVは世界三大広告賞の一つ「Clio Music 2025」でブロンズ賞を受賞した。2024年にはさいたまスーパーアリーナを皮切りに初の3都市ツアーを敢行し、2025年1月発売の3rdフルアルバム『新星目録』はiTunes総合チャート首位を獲得。同年2月には念願の日本武道館単独公演を実現させた。「Forbes JAPAN」の「30 UNDER 30 JAPAN 2025」にも選出されており、現在のYouTubeチャンネル登録者数は約285万人に上る。直近では3月にFortniteとのコラボスキンがリリースされ、キズナアイに続くVTuberとして同ゲームに登場したことも話題を集めた。
カバーは翌23日、NERDへの出資および共同事業契約の締結を適時開示した。出資額・出資比率は開示基準に満たない金額として非公開とされた。2026年3月期の業績への影響は軽微とし、2027年3月期への影響については精査のうえ業績予想に織り込んで開示する予定とした。一方、東京証券取引所でのカバー株(証券コード5253)は、3月19日終値1,610円から3月23日終値1,411円へ約12.4%下落し、3日続落で昨年来安値を更新した。当日の出来高は前日比約263%増の508万7,700株に膨らみ、ソロ活動収益のカバーからの移管を懸念した売りが広がった格好だ。
発表翌日の3月23日、東京・SUPER DOMMUNEで開催されたメディア説明会では星街すいせい本人が登壇した。MCをフリーアナウンサーの藤井貴彦が務め、約30分間にわたって設立の背景や今後の展望が語られた。星街すいせいは「VTuberの記者会見はなかなか見ない光景」と述べ、新たな挑戦の姿勢を示すために開催に踏み切ったと説明した。ホロライブとの関係については「本当に何者でもないときに拾ってくれた」と感謝を表したうえで、「ホロライブさんとの関係性はこれからも大事にしていきながら、途切れさせず、やっていきたい」と語った。「これからもホロライブさんには名前を残していただいて、”ホロライブの星街すいせい”として活動は継続していく予定」とも明言している。
事務所設立と同時に、自身最大規模のアリーナツアー「HOSHIMACHI SUISEI ARENA TOUR 2026 Once Upon a Stellar」の開催が発表された。9月8・9日にKアリーナ横浜、10月21日にGLION ARENA KOBE、11月7日にIGアリーナ(名古屋)、11月12日にマリンメッセ福岡A館で全5公演を実施する。TAKU INOUEとの音楽プロジェクトMidnight Grand Orchestraの2ndライブ「Project: Allegro」も2027年2月11日に幕張メッセ国際展示場4-6ホールで開催が決定した。公式ファンクラブ「星詠み」が同時に開設され、チケット先行抽選受付が開始されたほか、公式オンラインストア「HOSHIMACHI SUISEI ONLINE STORE」もオープンし、8周年記念グッズの販売が始まっている。新曲『プリマドンナ』のMVも公開された。
星街すいせいは記者会見で、次なる目標として東京ドーム公演を掲げ、デビュー10周年にあたる2028年までの実現を希望すると明かした。カバー・NERD・Studio STELLARによる3者連携モデルは、大手エージェンシー所属のバーチャルタレントが所属を維持しながらソロ活動を独立運営する初の事例となる。この新たな枠組みが、バーチャルタレント業界のマネジメント構造にどのような変化をもたらすか、今後の動向が注目される。

