K-POPアーティストのVRコンサートが、単発のファンイベントから年間を通じた事業モデルへと進化しつつある。米ロサンゼルスに本社を置くVRコンサート専門制作会社AMAZEが手がけたTOMORROW X TOGETHERのVRコンサート「HYPERFOCUS」は観客満足度99%を記録し、ENHYPENの「IMMERSION」も世界40都市以上で上映されるなど、K-POP×VRの商業的可能性はすでに実証段階に入っている。この流れのなかで、HYBE MUSIC GROUP所属の女性アーティストとして初めてLE SSERAFIMがVRコンサートの舞台に立つ。
LE SSERAFIMは初のVRコンサートツアー「LE SSERAFIM VR CONCERT:INVITATION」を4月15日より日本、韓国、米国、台湾の4カ国で同時上映する。主催はHYBE JAPAN、制作はAMAZEが担当する。観客は映画館の座席でVRヘッドセットを装着し、12K超高解像度——標準的な4Kの約9倍の精細さ——でLE SSERAFIMのパフォーマンスを体験する。AMAZEの独自技術である8K実写撮影、Unreal EngineベースのVFXパイプライン、AI超解像度(AI Super Resolution)が組み合わされ、従来の2Dカメラでは捉えきれなかったアーティストの実物感を再現する。
セットリストにはグローバルヒット曲「ANTIFRAGILE」や最新曲「SPAGHETTI(feat. j-hope of BTS)」などが含まれ、本VRコンサートのために特別に設計されたステージで披露される。インタラクティブ要素も充実している。VRヘッドセットが認識した観客の手でバーチャルライトスティックを振ることができるほか、手でハートを作るとコンテンツに反映されるインタラクション機能を搭載。5人のメンバーから1人を選び、選んだメンバーと自分だけの空間を楽しめるシーンも用意されている。
国内上映は東京と大阪の2都市で実施される。東京会場は109シネマズプレミアム新宿で4月15日から5月14日まで、大阪会場はT・ジョイ梅田で4月15日から5月7日まで上映する。109シネマズプレミアム新宿は全席プレミアムシートを備え、全シアターの音響を故・坂本龍一氏が監修した劇場として知られる。チケット料金は東京会場5,000円(税込)、大阪会場4,400円(税込)。4月20日以降の平日最終上映回限定チケットは東京4,500円、大阪3,850円に設定された。上映開始から5日間(4月15〜19日)限定の「FEARNOTチケット」は3月18日18時よりローソンチケットで販売を開始しており、VR限定ビジュアルの入場者特典と初回ランダム特典が付属する。韓国・米国・台湾の上映詳細は公式サイトで順次公開される予定だ。
本プロジェクトは、HYBE JAPANが2026年を「事業本格化のネクストステージ」と位置づけて推進する年間計画「HYBE JAPAN VR NEXT STAGE 2026」の幕開けとなる。LE SSERAFIMに続き、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、&TEAM、BOYNEXTDOOR、TWS、ILLITなどHYBE MUSIC GROUP所属アーティストが年内に順次VRコンサートに登場し、下半期には地方都市への上映館拡大も計画されている。
制作を担うAMAZEは、2015年にカカオ(Kakao)出身の経営陣が設立した企業で、累計調達額は約3,080万ドル(約46億円)に上る。aespa、EXOのKAI、米ラッパーのMegan Thee Stallionなどとの制作実績を持ち、米Fast Company誌の「世界で最も革新的な企業」にも選出された。アジア太平洋地域のバーチャルコンサートプラットフォーム市場は年率24%以上で拡大しており、世界最大級の音楽市場である日本でHYBE JAPANがVRコンサートのインフラを構築する動きは、VR公演がプロモーション補助手段から独立したエンターテインメント事業へ転換できるかどうかを占う試金石となりそうだ。
LE SSERAFIMはKIM CHAEWON、SAKURA、HUH YUNJIN、KAZUHA、HONG EUNCHAEからなる5人組で、SOURCE MUSICが手がけるHYBE MUSIC GROUP所属のガールグループ。2025年11月にワールドツアーのアンコール公演として初の東京ドーム公演を盛況裏に開催し、同年12月には米最大級の年越し特番「Dick Clark’s New Year’s Rockin’ Eve with Ryan Seacrest 2026」に初出演するなど、グローバルな存在感を拡大し続けている。2026年8月にはSUMMER SONIC 2026への初出演も控えており、VRコンサートはオフライン活動と並行してファンとの接点を広げる役割を担うことになる。

