個人の経験と真心を武器に、独立したバーチャルユーチューバーとして新たな道を切り拓いている人物がいる。それが『ルキ(Ruqi)』だ。バーチャルユーチューバーという仮想の世界の中で、彼は単なるコンテンツクリエイターを超え、本当の自分と向き合った人間として、言葉と行動を通じて多くの人々に慰めと勇気を届けている。最近、胸郭奇形手術を終えた後、人生の大きな転機を迎え、運動と新しい人間関係を通じて人生の方向を再設定した彼は、その変化の流れの中でバーチャルユーチューバーという存在と出会い、自然にデビューへとつながった。アニメーションの物語とゲームへの情熱を融合させた活動は、たった1ヶ月で現実となり、彼が築いた「半人半馬」の世界観は、内面の暗闇と可能性を同時に描き出し、見る者に強い印象を残しています。
――まずは自己紹介を兼ねて、VTuberとして活動を始めたきっかけを教えてください。
最近、私の人生にとって大きな転機がありました。長年抱えていた胸郭変形(漏斗胸)に対する治療の最終段階として、胸を支えていた金属棒の除去手術を終えたばかりなんです。これまでずっと「大したことない」と言われてきましたが、ある医師に姿勢や肺活量、症状の重さを見てもらったところ、「これは美容目的の手術ではなく、生活の質を上げるための必須手術だ」と判断されました。
その後、トレーナーと共に本格的な筋トレを始めることに。そこで、今でも私に大きな影響を与えてくれている友人と出会いました。自分がどうなりたいかも分からず、無力感に苛まれていた頃、その友人は「君ならできるよ」と言ってくれたんです。恐れ、プライド、固定観念、過去の傷を乗り越えることができた瞬間でした。
自分の幼少期の経験が、自分自身を制限する世界観を作り出していたことに気づきました。その考え方を変えてくれたのがその友人です。だからこそ、同じように苦しんでいる人たちの「小さな火種」に風を送り、育てていける存在になりたいと思ったんです。
ちょうどそのタイミングで、友人からVTuberという文化を教えてもらいました。元々アニメ――特に少年アニメの成長や努力の描写が大好きで、ゲームも幅広く楽しんでいて、好きなことを語り出すと止まらないタイプだったので、「これは運命だ」と思いました。1ヶ月もしないうちにモデルを用意し、配信をスタートしました。
ただ、VTuber文化については何も知らず、「あらあら言って」と言われて戸惑ったりもしました(笑)。
でも、人気のインディーや企業VTuberたちを見て、「誰かの笑顔のために活動している」という共通点に強く惹かれました。それが、私がVTuberを目指す決定的な理由になりました。
――キャラクターデザインは「半分悪魔」とのことですが、どんな思いが込められていますか?
私のキャラクターが半分悪魔である理由は、以前の私の世界観にあります。
昔の私は、世界をとても暗い場所だと感じていました。アニメのような正義感を持つ人たちは、現実には存在しないと思っていたんです。でも、実際に出会ったんです、限界まで努力し、自分を律して生きる人たちに。現実にも、アニメのキャラクターのような人たちはいるんだと知りました。
そして、アニメはフィクションだけれど、それを作ったのは現実の人間であり、そこにはメッセージがあると気づきました。――「誰も見ていなくても正しくあれ」「常に成長し続けろ」。それを伝えたくて作品を作っている人たちがいる。そんな思いに気づいた瞬間、私は自分が愚かだったと思いました。
私の中にはまだ疑いや皮肉な面もありますが、それでも「夜空に光る星」のように、確かに誰かがいる。そんな人たちに、私もなりたいと思いました。
――好きなゲームジャンルと、よく配信するタイトルは?
ホラーゲームとチャット参加型のゲームが大好きです!
一人でやると怖すぎて絶対プレイできないホラーも、配信でみんながいてくれるからこそ、楽しく感じられるようになりました。むしろ、コミュニティを「守っている」ような気持ちになれて、勇気が湧いてくるんです(笑)。
それ以外では、視聴者がチャットコマンドで直接参加できる『Kukoro』というゲームがお気に入り。みんなで遊べるし、時には「チャットvs配信者」みたいな展開になって、私が彼らをいじるのも楽しいです!
――配信スタイルや、他のVTuberとの違いはどこにありますか?
私の配信スタイルは「まったり×たまに真面目トーク×ちょっとだけスス(笑)」です。
やるゲームは日替わりで、気分次第で色々試します。ただし、金曜日は絶対にホラー系!――通称「Spoopy Fridays」です。視聴者がゆっくりできる時間帯に、みんなでワイワイ驚くのが楽しいんです。
正直、自分のチャンネルが特別だとは思っていません。でも「すごく居心地が良い」「本音を話してくれる」「安心できる」と言ってもらえるのが嬉しいです。自分の成長をちゃんと見せることで、視聴者も自分自身の挑戦に向かえるような、そんな空間を目指しています。
――ファンダム「ルーキーズ」について教えてください。
「ルーキーズ(Rookies)」は、私の名前「Ruqi」に由来したファンネームです。
まだ種族設定などは決まっていませんが、いたずら好きなネコ型インプのような存在としてイメージしています(笑)
ルーキーズたちはとても積極的で、私のことをまとめたWikiを作ってくれたり、YouTubeに切り抜き動画やVODをアップしてくれたり、さらにはコスプレやグッズ制作まで手掛けてくれる方もいます。
他にもファンアートやTellonymでの匿名メッセージ、配信の改善アイディアなど、見えないところでもたくさんの応援をもらっています。日常の中で私の好きな飲み物や、配信中の小ネタをファンアートに忍ばせてくれるのが本当に嬉しいです。
何よりも大切なのは、「配信に来なくても、ツイートにいいねしてくれるだけで、もうそれは立派な応援」というスタンスを私が持っていること。ルーキーズがくれる愛を、私はずっと大切にしています。
――配信以外の趣味についても教えてください。
筋トレとアニメが大好きです!
私はかなりミニマリストな性格ですが、最近は少しずつ部屋をアニメやVTuberのグッズで飾ろうかなと思っています。憧れの人や友人を応援する意味でも、自分の空間を「推し活」仕様にしたいなと。
筋トレは特に精神面での成長にも繋がると感じています。失敗や限界に直面しながらも、誠実に取り組むこと――それが心にも体にも良い影響を与えると信じています。
――今後のVTuberとしての目標は?
これからも自分自身を更新し続けながら、このメディアが持つ可能性を探っていきたいです。テクノロジーの進化と共に、もっと笑いを届けられるような面白いことがきっとできるはずだから。
――ユーモアの取り入れ方について教えてください。
私のユーモアは、ちょっとススだったり、ありえない発言をして笑わせる感じです(笑)
ゲーム中に「現実であったらどうする!?」というような場面が出てくると、ついツッコミを入れたくなっちゃいます。
――配信活動で心に残っているエピソードは?
いちばん印象に残っているのは、誕生日にもらった動画プレゼントです。
配信や日常での考え方、取り組みを誠実にシェアしていたつもりだったのですが、視聴者の皆さんがそれをちゃんと受け取ってくれていたことが、何よりの証明でした。
「ルキの配信は癒される」「トークがためになる」といったメッセージが詰まったその動画は、今でも私のエネルギー源です。
――インディーVTuberとして、どんな苦労がありましたか?
一番の悩みは「やりたいことが多すぎて時間が足りないこと」!
私のコミュニティはとても協力的で、クリップ作成やイベント運営まで手伝ってくれます。でも、私はそれを当たり前とは思っていません。もっと自分からプロモーションにも力を入れたいです。
もうひとつの課題は「コメントを拾いきれないこと」。
私はコメントとのやり取りが大好きで、見逃したくないんです。なので、配信中にチャットを2つ並べて表示し、ひとつは遅延用として使っています。
最後に技術面やブランディングにも悩んでいますが、ありがたいことに、裏で助けてくれる友人がたくさんいます。
配信は、ただの娯楽ではありません。
それは、誰かの一日を照らし、立ち止まっていた心にそっと寄り添う力を持っています。Ruqiの言葉や行動からは、「人は変われる」という強い信念と、その変化を誰かと分かち合いたいという優しさがにじみ出ていました。
「笑わせたい」「癒したい」「前に進むきっかけを与えたい」。
Ruqiが配信を通じて届けるメッセージは、まさにリアルとバーチャルをつなぐ架け橋のようです。
これからも「ルーキーズ」と共に歩みながら、自らの進化を続けていくRuqi。
もし少しでも気になったなら、ぜひRuqiの配信に足を運んでみてください。そこには、きっとあなたにとっての”火種”があるはずです
ルキ(Ruqi)は今も毎週『スポキ・フライデー』を通じて視聴者たちと笑い、泣き、自分だけのペースでバーチャルユーチューバーの道を歩み続けている。数多くのキャラクターと世界が共存するこの世界において、彼が追求する方向は単なる楽しさではない。自身が変わった経験を基に、誰かに初めて「大丈夫だよ」と声をかける存在になりたいという、その真摯な目標が彼の放送を特別にしている。ファンダム「ルキーズ」と共に積み重ねる物語は、今日も一つの温かい記憶として積み重なっており、画面の向こうの視聴者はその中で少しずつ慰めを受け、共に笑い、再び生きる勇気を得ています。技術が進化するにつれ表現の方法も変わる時代、ルキはまさにその中心で、真に人に向き合う方法を考え実践する一人です。そして私たちは、その旅路を見守れることを本当に幸運に思います。